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芸術的トマソン

私には何もありません。

野球とは、

自分にとって野球がなんなのかわからなくなった。

今年は、いっそ野球になんて興味を持たない方がよかったんじゃないのか、と思ったこともある。

悩んだときに、かつて行われた企画を思いついた。2009年にNPBによって行われたプロ野球選手に尋ねたアンケート。「あなたにとって野球とは」

私にとっての答えなんてそこにはないのだけれど、ふと、もう一度見て見たくなった。

 

「野球とは、神様が与えてくれた最高の娯楽である」

小宮山悟はこう答えている。この答えは引退の際にも口にした言葉だ。

彼のような理論派が“神様”という言葉を使うのが面白いが、具体的な神ではなく、漠然とした大きな存在を“神様”という単語で表現したのだろう。

 

「野球とは、天職である」

落合博満の答え。まさにそのとおり。アマチュア時代に紆余曲折あり、一時はプロボウラーを目指したものの結局はプロ野球にたどり着いた彼をよく表している。

 

「野球とは、道楽」

当時、阪神に在籍していた久保康友の答え。ロッテ時代に起用法で揉めてトレードに出されたり、阪神時代に契約公開で揉めたり、アイシングを拒否したりと独自の道を行く彼の言葉。自分の道を歩いて楽しめばいい、そんな思いが伝わってくる。

 

「野球とは、一番大好きなスポーツである」

藤井秀悟。彼らしいというかなんというか。W杯を見にいって風邪を引いて登板を回避したり(そして、温厚な若松監督を怒らせた)、やたら能天気なエピソードがある藤井の何も考えてなさそうな雰囲気が現れている。

 

「野球とは、素晴らしい感動を与えられる、生きているドラマである」

日本ハムの梨田監督。楽天監督就任時に「夢と感動」をスローガンにした彼は、ここでも“感動”という言葉を使っている。喜びと涙に満ち溢れた近鉄バファローズという球団でプレーした経験が、心に染みているのだろうか。

 

「野球とは、期待と裏切りである」

山崎武司の言葉。山田久志監督と喧嘩をしたり、オリックスでは伊原監督と揉めたりと、プレー以外の面で辛い思いをした経験が「裏切り」という言葉で表れたか。

 

「野球とは、青春と汗」

ある球団の監督の言葉、と言えばわかる人もいるかもしれない。答えは原監督。この人の暑苦しさ、野球というものに向かう姿勢が表れている。それにしても輝いている人だ。高校球児時代に野球雑誌の表紙を飾り続けただけある。

 

「野球とは、勝ってなんぼ!」

 杉内俊哉。契約更改で「携帯会社と同じですよ、新規に優しく既存には冷たい」などと親会社を巻き込んだ球団批判をしたり、KOされたあとにベンチを殴りつけて骨折したりと、熱しやすく負けず嫌いな性格がよく出ている。

 

色々見てみると、選手一人一人の性格が表れていて面白い。それぞれの心に野球があり、抱えながら生きているのだろう。

ただ、これらの回答を見ても、自分の答えは見つけられない。

今、あえて見つけるとすると「野球とは、別れられない恋人のようなもの」といったところか。

離れたいのか、離れたくないのか、それすらもわからない中途半端な存在だ。