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芸術的トマソン

私には何もありません。

「なりきりダンジョン」の思い出

思い出
テイルズオブファンタジア なりきりダンジョン

テイルズオブファンタジア なりきりダンジョン

 

ふと、とあるゲームを思い出した。

テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン

ハードはゲームボーイで、文章の多くがひらがなという子ども向けのRPGだった。

テイルズオブファンタジア」というゲームの外伝のような話だったが、これ単体でも十分楽しめる。

 

ストーリー

ある日、静かな夜空から美しい流れ星が降り立ちました。 あなたが星の光の中に見つけたのは、双子の赤ちゃん。 元気な泣き声を上げる男の子と、すやすや眠っている女の子。 それから13年経った、アセリア歴4408年。 争いもない平和なこの世界で、ちょっとした冒険が始まるのでした…。(公式HP文)

 

あなた(プレイヤー)が見つけた双子は「なりきり」という不思議な能力を持っていた。それは職業に関係する服を着ると、その職業になりきることができるというもの。

例えば剣士、魔術師、格闘家、忍者などの戦うための服。画家、料理人、占い師、商人などの普通の職業の服などなど。

双子の男の子ディオと女の子メルは、この力を使ってダンジョンに潜ったり、町の人々の頼まれごとを解決したりする。

そして、現在、過去、未来と時空を転々としながら冒険を進むうちに、二人は自分たちの誕生の秘密を知っていく……。

 

子ども向け……?

様々な職業になれるという子どもの憧れがメインのゲームだが、全体的に世界観は暗い。

特に「ヴァルハラ村」「悪徳商人ボエボエ」の話は、子どもの心に強烈に突き刺さるものだった。

 

ヴァルハラ村は戦争や差別で傷ついた人々が集まる村。

貧困と狂気が詰まった人々がディオとメルに語りかける。

両親を失い、自分はお姫様なのだという妄想に取り憑かれた少女。

眠っている時だけが苦痛を忘れられると言い、永遠の眠りを望む青年、記憶が錯乱し、苦しむ老人なども出てくる。

 

しかし、時空の旅に出かけて未来にたどり着くと、村は一転して明るい雰囲気に包まれている。

貴重な石(石炭やレアアースの類?)が出たと喜ぶ村人達。「もう俺たちは虐げられることはない」と言う。

しかし会話をしてみると、欲に目がくらみ、心が荒んでいることがわかる。

貧しく荒んだ心と、欲に取り憑かれた心。両方を表しているイベントだった。

 

「悪徳商人ボエボエ」は、冒険を進めるなかで、たびたび登場する「ザンス」口調の嫌な人物。

貧しい親子を騙して土地を奪おうとしたり、金のためならなんでもする。

双子はその度に、商人の服を着て交渉したり、忍者の服を着て違法な契約書を盗んだりして解決していく。

 

冒険が終盤に差し掛かると、今度はボエボエが双子に頼みごとをしてくる。

「お前達を敵にすると厄介だから味方につけるザンス」

しかし、頼みごとは悪事に関わるもので、双子はきっぱりと断る。

そして、女の子メルは泣き出してしまう。

「どうしてあなたはそこまでしてお金にこだわるの?」

そこでボエボエの過去が判明する。彼は子ども時代に厳格な父親から「世の中は金が全てだ。金さえあれば人の心だって動かせる」と言われ続け、心が歪んでしまっていた。

そして、ボエボエは病気で命が長くないことも双子は知る。

 

普通の子ども向けゲームであれば、ここでボエボエが改心したりするのだろうが、このゲームは違った。

ボエボエは「信頼、人の心……金で買えないものがあるくらいわかっているさ」「しかし、今さらどうすればいいんだ?」「金を稼ぎ続けてきた私の人生はなんだったというんだ」とザンス口調を捨てて双子に詰め寄る。

「子どもから見れば汚い大人だろうさ」「でも、大人は逆に子どもの純粋さがハナにつくことだってあるんだ」「純粋さで心を動かせると思うか?」「そんな涙で人は変えられない」

そして最後にボエボエは「金で買えないものはもう一つある。命だ」と言い残し去っていく。

のちに双子は、ボエボエが死ぬ最期の時まで金を稼ぎ続けたことを知る。

 

ボエボエの双子への問いかけは、そのままプレイヤー(子ども)への問いかけとなっており、印象に残る。

大人を信じられなくなりそうなイベントだが、逆に大人になった時に、ボエボエが言っていることの意味がわかる人もいただろう。

 

ちなみに、ボエボエと一番最初に会ったときに、ボエボエの名前を変えることができる。

しかし「なまえを付けてください」といったような文章ではない。

それは

「あなたがおもう、いやな人のなまえは?」

というもの。

 

振り返ってみると、これも強烈だった。

 

 

こうして振り返ってみると、買い直してまたプレーしたいと思うが、いかんせんゲームの難易度も子ども向けとは言えないものだったので、もう無理だろう。

それでも、10年以上経ってもまだ思い出す、いいゲームだった。

 

本当にふと、思い出しただけなので間違っているところもあるかもしれない。

あと、やたら文章が長くなった。